«

»

4月 11 2005

ナショナリズムに傾いているのは日本の方ではないか

このところ、新聞紙上で中国での日本に対する抗議デモのことが、連日報道されている。
反日デモ、中国各地に飛び火 日本料理店の窓割られる:asahi.com

中国国内での日本に対する抗議活動は10日、前日の北京から中国各地に飛び火した。広東省では広州市で2万人、深●市で1万人規模のデモ行進があり、日本料理店の窓ガラスが割られ、日系スーパーの入るビルの出入り口が壊された。また上海では日本人留学生2人が飲食店で、日本人であることを理由に殴られて軽いけがをした。

ことの原因は、教科書検定問題と日本の常任理事国入り問題にある。
「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書が検定に合格した。「つくる会」の歴史教科書は「南京大虐殺」や「従軍慰安婦問題」の事実を否定している。
また「竹島問題」を載せる教科書会社もでてきた。まるで日本政府の意に沿うように「自主規制」しているみたいだ。
この様子に、中国や韓国の人たちが、日本の「右翼化」を感じ、疑惑の念をもつのは当然だろう。


「つくる会」教科書検定合格に抗議デモ 香港:asahi.com

日本の教科書検定で「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史教科書が合格したことについて、香港立法会(議会)の親中与党民主建港連盟(民建連)のメンバー約20人が6日、市内で抗議のデモをした。また日本総領事館を訪れ、この教科書を合格させたこと、小泉首相が靖国神社参拝を続けていることなどに対して抗議する書簡を総領事館職員に手渡した。
また中国系紙文匯報、中立系紙明報は社説でともに「隣国を侵略した歴史を認めない国に国連安保理常任理事国の資格はない」などと日本を批判した。

中国での抗議デモで、日本人が怪我をすることがあり、そのことも含めて町村外相が中国政府に抗議をしたという。
確かに、罪のない一般市民にまで危害を与えるのは行き過ぎだが、そもそもの原因をつくったのは日本政府の側。
連日のマスコミの報道は、そのあたりの視点をぼやかしていて、中国政府の対応の甘さを問題にしている。
僕たちはまず、日本政府に対し、自国の過去の歴史をまっすぐ見つめ、中国や韓国へ誠意ある対応するよう求めるべきだろう。
その上で、それぞれの国民が無意味な対立に陥らないよう、それぞれの政府に対し、適切な行動を要求すべきだろう。
なぜなら、本来僕達はお互いに憎み合うのではなく、手をつなぐべき存在だからである。
騙されてはいけない。

問題は過去を克服することではありません。さようなことができるわけはありません。後になって過去を変えたり、起こらなかったことにするわけにはまいりません。しかし過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります。非人間的行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすいのです
永井清彦編訳『ヴァイツゼッカー大統領演説集』(岩波書店)


11 comments

Skip to comment form

  1. koyasu

    トラックバックありがとうございました。
    本日の講義でも、春休みに中国や韓国に行って来た学生がこのところ状況に驚いています。これをどう受けとめて行ったらいいのか、あるいは何度も繰り返されるこうした状況に対して日本の過去の対応について問題があるからではないかというような反応が寄せられていました。
    私の所には日本と中国の架け橋となる仕事をしたいという中国からの留学生もいますから、国家レベルでも誠意ある対応を日本政府も進める必要があると特に思います。デモ隊による投石などは問題だとは思いますが、教科書問題などで加害の国に相応しい対応が求められるとます。

  2. こころ模様

    未来は過去から生まれる

    「過去のことを水に流す」と言う。友だち同士のわだかまりをいつまでも根に持つのはよくないことがある。だから、水に流して、一から出直した方がよいのだ。
    しかし、決…

  3. Haru

    子安さん、こんばんは。
    すぐにコメントくださり、ありがとうございます。
    確かに同じことが何度も繰り返される状況は、根本的なことが未解決のまま、戦後から今まで来てしまったからでしょうね。
    60年たっても、戦中と同じことを言っている人が政治の中心にいる。そして、最近の情勢を見ると、中国側に問題があるというとらえ方が、浸透する心配があります。
    平和憲法を守ろうという人たちの広がりもありますが、これからはせめぎ合いでしょうね。
    今回の事件が、問題のすり替えに使われないよう、しっかりと意見していく必要を感じています。
    では。

  4. YOの戯れ言(教育中心)

    常任理事国入りと投石

    これがどういう意味を持つのか、正直、通り一遍等の知識しか(さえ、かも)もちあわせていません。
    http://tonetalk.to/tonetalk/arch

  5. MAO

    今週前半の注目点は日本の経済界がどう動くかではないかと思っています。たとえば奥田会長の発言はどうでるのか。

  6. papaondo

    そうだよね、だけど主張を訴えるデモと破壊や暴力行為は区別されなくっちゃいけないと思う。
    海外での生活や企業活動の保証が国際的なルールなんだとしたら、中国政府もまずは謝って「だけどね、日本も各々然々だから・・・」といわないと世界的な信用をえられないんじゃない?
    そこんとこは日本政府もはっきり抗議するべきだと思うけど。

  7. tokoma

     国対国の問題でどちらに非があるかを考えるより、自国を良くするために自国の問題点を確認することは良いことだと思うのですが、それは相手国の非を見過ごすことや、言動を無条件に受け入れることではないと思います。エントリーには、このあたりのバランスが取れていないように感じます。
     過去の出来事を自分のことでないとできるのであるならば、自虐もひとつの逃避手段だとは思いますが、なにごとも是々非々なのではないでしょうか?
     今日のように誤解や偏見がまかり通っている中で、歴史は一つの鑑とはなりますが、国と国との歴史はまた違うものであるとの認識も必要だと思います。

  8. Haru

    >MAOさん
    お越しくださり、ありがとうございます。
    確かにどうですね。政治問題は経済問題であり、改憲を強く押している彼がどう出るか…
    海外で活動する企業を守るのが、今後の「自衛隊」に期待されている「任務」でもあるわけで。
    そういう意味では、今回の中国の問題は、そう易々とことは進まないことを、日本の支配者層に知らしめたのではないでしょうか。
    >papaondさん
    お久しぶりです。
    ことの原因は日本側にあるんだから、まず日本がきっちり謝罪して、それから中国政府にデモに乗じた破壊活動を厳しく取り締まるよう、要求するのが筋ではないでしょうか。
    順序が違うから、こじれているわけで。
    このことで世界的な信用を失っているのは、むしろ日本の方でしょう。
    常任理事国入りは、この件で難しくなったみたいだし…
    >tokomaさん
    初めまして。ご意見ありがとうございます。
    今回のことは、その底流に小泉首相の靖国参拝の問題があることを忘れてはいけないと思います。
    隣国の感情を無視して、自国のことのみ考えている日本政府にまず非があるわけで、そこを不問にしたまま、今回のことを考えてはいけないと思います。
    僕のエントリーは、決して中国の人の破壊活動を容認しているものではありません。それはよく読んでいただければわかるはず。
    それと、これは政府と政府の問題であり、国民同士の対立に発展させるのは、間違っています。これもエントリーにはしっかりかき分けています。
    だから、僕のエントリーでは「反日デモ」とは書いていません。「抗議デモ」です。彼らは基本的に日本政府の対応に抗議しているのであり、それをあたかも日本全体への違法行為のように描いているのは、日本の政府・マスコミの情報操作です。
    それに騙されていけません。
    長くなりました。
    それでは。

  9. cindrillon

    はじめまして。こちらのサイトにおじゃまさせてもらいます。
    ナショナリズムの定義を調べていたら、
    ここに行き着いてしまいました。
    人は自分の侵した罪を忘れてはならないと思います。
    そして前向きに未来に生産的に生きていく為には
    過去に何があったのかと客観的に事実を認識し
    過去に犯した罪を二度と犯さない為には
    何をすべきかと考えそれを行っていく事が大事だと思います。
    はたして日本は本当に自分の責任を果たしていないのでしょうか。
    日中友好条約が結ばれ、日本は今まで陰ながら
    罪を償ってきています。
    その内の大きなものとしてODNがあります。
    皆さんはどの位日本が中国に対し
    ODNをしてきたかご存知ですか?
    知らないと思います。
    2兆円を遥かに超えています。
    疑うなら調べてみてください。
    日本の政府、マスコミは国民に知らせるべき事を知らせていないのです。
    一方だけの意見の鵜呑みはとても危険です。
    真実は何かと見極める力を持ちたいものです。
    とかく日本人は素直な方々が多いようなので
    気を付けたいものです。
    新聞記事も出来ることなら各社を検討比較してみて下さい。
    各国の新聞も出きるだけ読んでみるのも悪くないです。
    でも新聞だけが真実ではありません。
    最後に言いたいのは、喧嘩は一方からだけで
    始まるわけではありません。
    日本政府の対応も確かに悪いです。
    しかし中国には非が全然ないのでしょうか。
    いまなおチベット、ウイグルに対して行っている
    中国の政策は非人道的極まりありません。
    そんな国が日本に人権だ何だかんだ言っています。
    本当に人権を考えている人たちなのでしょうか。
    自分の利益のみを優先している人たちにしか
    私には見えません。
    最近とみに今まで真実だと信じていたことが虚実であったと云う事が多々出てきつつあります。
    表に有るからといってそれは決して真実ではありません。裏にあるものが真実の場合もあります。
    真実は多くの人々から様々な意見を聞く事によって
    見極められるのでは無いかと思う今日この頃です。
    タブーは無くすべきです。
    人は話し合うべきです。
    そんなことをこちらのブログに来て思いました。
    ブログ主様お気を悪くなされたら大変申し訳ございません。お許しくださいませ。
    p。s。topの鯛の刺身とアサリの酒蒸し!!とっても美味しそうでした。写真もとっても綺麗です。お花の写真もとっても綺麗*

  10. Haru

    cindrillonさん、お越しくださりありがとうございます。
    袖振れ合うも多生の縁。これをご縁に、これからもたまに遊びに来てくださいね。
    さて、まず僕のスタンスをはっきりさせておくと、政府と国民は区別して考えています。
    今回の件は「喧嘩」ではないと思います。戦争中に日本政府が行ったことに対して、戦後にどれほどしっかりと反省し、二度と過ちは起こさないと決意をしてきたのでしょうか。
    これまでもたびたびあった「南京大虐殺」を否定する大臣の発言、今回そういう趣旨で書かれた教科書が国家検定に合格している…
    日本政府のリーダーである小泉首相は、A級戦犯を祭っている靖国神社への参拝をやめない(靖国はあくまで時の政府側に人間しか祭っていません。西郷隆盛は賊軍なので、祭られていないのは有名な話です)。
    日本政府は過去の戦争について、何の反省もないととられて当然の行為でしょう。
    ただし、日本大使館などの投石など、暴力行為は許すべきではありません。
    暴力で何も解決しないのは9.11のテロで、僕たちはもう学んでいます。
    どの国にも、政治の恥部というものがあるでしょう。中国では天安門事件が、記憶に残っていますが、だからといって、お互い様だろうにはならないと思います。
    ODNについては、これは本当の国際協力にならないことは、さまざまな資料が語っています。
    僕の言いたいことは、今回の件については、日本国民と中国国民は手をつなぐべきだと言うことです。
    だから、マスコミの政府と国民を混同するような報道には、注意しなくてはいけません。
    日本側の対応から始まった今回の抗議デモは、やはり日本政府の行動に最初の非があったと、考えるべきでしょう。
    だから、僕たち日本国民が安心して中国に行けるように、誠意ある対応をするように、日本国民自身が日本政府に要求すべきなのです。
    そこから目をそらさせようとしているマスコミの情報操作には、気をつけなくてはいけません。
    日本政府は確信犯的に、今回の事件を利用しています。
    長くなりました。
    ではでは。

  11. サブカル雑食手帳

    ナショナリズムとちんぽこ

    「歴史教科書問題」や「憲法改正論議」が取り沙汰されるのと 連動するかのようにナショナリズムに関する本が数多く出回っ ている。私もそのうちの何冊かは目を通してみた…

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次の HTMLタグおよび属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>