虚構の多数の上に成り立つ政権

衆議院選挙が終わった。
自民党圧勝の結果に、空恐ろしさを感じたのは、僕だけではないはず。
与党だけで3分の2を超える状況…
これは自民と公明だけで、憲法改正を発議できるということでもある。
これから数年の日本は、ますます大変な状況になっていくだろう。
歴史はまっすぐには進まないものではあるが、政治と国民の生活とのギャップは、ますます矛盾を深めていくだろう。
それが、今後の日本を変えていく、大きな力になることを期待しつつ…
今回の結果をこれからいろんなメディアが分析していくだろうが、tonetalkつぃては、第一に選挙制度の問題をあげておきたい。
これが民意を本当に反映したものになっているのか。
憲法前文には、次のように書かれている。

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

「正当に選挙された国会」の部分が重要である。
衆議院は定数480人。
そのうち、小選挙区が300人、比例代表が180人。
このような選挙制度が、本当に民意を反映できるか、つまり「正当に選挙された国会」といえるのかどうか、もう一度議論されるべきだろう。


小選挙区では、各選挙区から最高得票を得た一人しか当選しない。
つまり、それ以外の候補者に投票した票は、すべて死票になってしまうのである。
例えば、4人の立候補者がそれぞれ100票、90票、80票、70票という得票だった場合、100票の者のみ当選し、残りの240票の意志は結果には一切反映されない。
これが死票なのである。
この制度の問題点は、導入時から指摘されていて、だからこそ当時の国会で一度否決されたのだが、当時の社会党党首土井たか子衆議院議長が、再度衆議院を開会し、採決させてしまったのある。
あのときから、日本の民主主義は大きな曲がり角を迎えたのである。
小選挙区の弊害を少しでも薄めるために、と比例代表制が併設されているわけだが、その定数はどんどん減らされている。
民主党は更に80議席減らして、100人にすると主張している。
試しに、今回の比例代表の結果から、小選挙区制でなければ、各党が何議席をとったか算出してみたい。
あくまでも、両選挙区で同じ政党を選んだという前提だが、小選挙区の恐ろしさを実感できると思う。
自民党…128議席(合計205議席)
公明党…38議席(合計61議席)
民主党…102議席(合計163議席)
共産党…15議席(合計24議席)
社民党…10議席(合計16議席)
国民新党…3議席(合計5議席)
新党日本…2議席(合計3議席)
その他…2議席(合計3議席)
これでわかるように、自民党だけでは過半数はとれないのである。
とうの昔から、とれないのである。
だからこそ、選挙制度を改悪してきたのであり、公明党との連立を画策してきたのである。
しかも、与党だけで266議席、衆議院の過半数はとれるが、3分の2はとれない…
今回の圧勝が、いかに選挙制度の虚構の上に成り立っているか、実感できると思う。
そして、本来163議席はとってもおかしくなかった民主党が、実際には113議席しか取れなかったのはなぜか。
それは簡単に言って、政策に自民党との違いがほとんどなかったからである。
同じなら、小泉ブランドを選ぶのは、消費者なら当然だろう。
だって、そっちの方がわかりやすいから。
民主党は比例代表で61議席取れているのに、その定数を減らすことを主張するなんて、自分で自分の首を絞めている。
いったい誰に向いている政党なんだろうね。
社民党に至っては、共産党にも負けている。
土井たか子は、今回落選。
前党首を落とす政党には、未来はない。
これも、そもそも小選挙区導入で筋を通さなかった報いだ。
ポリシーのない者は、消えていくのである。
逆説的にいえば、自民党は確信犯的に憲法違反を積み重ねながらも、自分達の勢力をいかに温存するかに、ポリシーを貫いてきたから、今回の圧勝に至ったのだろう。
国民の側に立つような顔をして、寝返ったりすると、しっぺ返しを食らうわけだ。
それなら、最初から「国民にも痛みを」という方が、よっぽど正直である(^^)
少なくとも、今回の結果は、あくまで選挙制度の上での虚構の上に成り立っているのは、確かだ。
ならば、僕たちは選挙制度の改正も含めて、国民の側に立つ政治を求めて、これからもものを申していくしかないだろう。
正しいことは、必ず多数になることを信じながら…

1 個のコメント

  1. 「選挙」

    同じタイプの保守政権が続くことになる見通しだと報道されています。だから、今までとほとんど変わらない。課題となっている法律が前よりも通る可能性が高くなったかもしれ…

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