贖罪と許しと…

実は、もっと軽い映画と思って、あまり構えずに見ていた。
豊川悦司・薬師丸ひろ子の「今度は愛妻家」。

もう昔の映画だから、ネタバレで書いてしまうけど、妻が1年前に死んで、夫がその事実を受け入れられず、妻との幻想の会話の中で生きている。
愛するものの死を受け入れることは、簡単なことじゃない。

ずっと、忘れ物をしていたのは、彼の方じゃないのか。
本当は心から愛していた妻への、たった一言の言葉。
「一緒にいて楽しい。ずっと一緒にいたい」

「なんで生きているいるうちに言ってくれなかったの?」という妻の言葉に、「ごめん」の一言。
このときに、全てが現実に戻る。そう、彼はずっと妻に謝りたかった。そして、許してもらいたかった。
その忘れ物を引き取ったときに、初めて現実の世界に戻れるのだ。

人は自分の死を死ぬことはできない。
死は死者のものではなく、生者のものである。
大切な人の死を受け入れて、自分は自分の生を生きること。
これが、死者への最大の思いやりと同時に、自分の生を大事にすることである。

 

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