風に吹かれる夜

昼間の暑さも、夜になると宇宙に拡散してしまって、代わりに涼しさが舞い降りてくる。
雨が近づいているのか、雨戸をかたかたと鳴らす風の音。
人工的な冷気に頼ることなく、地球の呼吸を感じよう。
2階の窓を全て開け放つ。
夜の風が、火照る肌を優しくなでていく。
遠くから蛙が、独りの僕に話しかけてくる。
るるり、るるり…
夜は心の鍵を開ける。
風は僕を遠いところへ運んでくれる。
まだ見ぬ街の、海の見える場所。
夕焼けのきれいなところ。
そこにも、きっと同じ風が吹いているのだろう。
風に吹かれる夜。
蛙の歌声を聞きながら 僕は
雲と甘い秘密のおしゃべりを楽しんでいる。

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