生まれくる子ども達のために

迂闊だった、こんなドラマが放映されていたとは…
終戦六十年スペシャルドラマ「火垂るの墓 — ほたるのはか —」
「火垂るの墓」は富畑勲監督・スタジオジブリ制作(1988年)のアニメで見て、むせび泣いた。
4歳と14歳で生きようと思った…
そんな幼い子ども達を、容赦なく消し去っていく戦争…
魂となった二人が戦後の復興した、神戸の町並みを見下ろしているラストシーンに、今の平和のために犠牲になった名もなき子ども達の存在を忘れていけないと、心に刻んだのであった。
この物語は、原作者の野坂昭如氏の実体験が元になっている。
野坂氏の妹は2歳だったとのことだが、その妹を救えず、死なせてしまったことへの贖罪として、この小説は書かれたということである。
節子を助けようと必死になる清太は、そうありたかった作者の願いの表れであろう。
戦争は、人間性を失わせてしまう。そういう恐ろしさが、作品全体を通して伝わってくる。
その実写版として制作された先のドラマのエンディングテーマが、オフコースの「生まれ来る子供達のために」。
それを、あのミスター・チルドレンの桜井和寿氏がカバー。
しかも、iTunes Music Storeで11月30日までの期間限定でダウンロード販売するとのこと。
これは購入しない手はないと、早速手に入れたのであった。


カバーそのものは、申し訳ないが原曲を超えていない…
曲の持つ深いメッセージ性は、原曲の方がよく表現されている。
アレンジもありきたりで、購入してまで聴く価値はない。
オフコースのものは1980年3月にシングルカットされている。
僕が高校2年生の時だ。聴いた当時、歌詞の深さに感銘したことを覚えている。

多くの過ちを僕もしたように
愛するこの国も
戻れない もう戻れない
あの人がそのたびに
許してきたように
僕はこの国の明日をまた想う

2005年の現在、改めてこの歌を聴く、歌詞の意味がまた心に響いてくる。
憲法を改悪し、再び戦争のできる国にしようとしている財界・小泉政権…

ひろい空よ僕らは今どこにいる
生まれ来る子供たちのために
何を語ろう 何を語ろう

これから生を受けてくる子ども達に、平和な国・未来を手渡してやれるのだろうか。
節子や清太のように、戦争に翻弄され、死ぬことのない世界を。
ちなみに、ドラマ版で節子役を演じた佐々木麻緒ちゃんが、うちの3歳の娘とそっくりである。
節子は4歳で栄養失調で死んだ。
うちの娘が…と考えると、それだけで心がわしづかみにされたように痛む。
やっぱり。戦争はいやだ。
それだけで、十分な理由じゃないか。
ところで、この曲のダウンロード販売の一部は、ap bankを通して世界の子ども達のために使われるとのこと。
その趣旨に賛同される方は、購入されてもいいだろう。

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