橋下大阪府知事の法感覚

橋下大阪府知事がタレント弁護士時代に、母子殺害事件に関してテレビ番組で発した暴言に対して、司法から明確な賠償判決が出された。
asahi.com:「橋下知事に賠償命令 母子殺害事件巡る発言で 広島地裁

判決によると、橋下氏は07年5月27日、民放の番組に出演し、元少年が差し戻し控訴審で、一、二審とは一転して殺意や強姦(ごうかん)目的を否認したことについて、弁護団がそうした主張を組み立てたと批判。「許せないって思うんだったら、弁護士会に懲戒請求をかけてもらいたい」と発言した。今年1月までに4人に対し、それぞれ600件を超える懲戒請求があった。
橋本良成裁判長は、橋下氏の「弁護団の主張が創作であり、懲戒に相当する」という趣旨の発言について根拠がなく、名誉棄損にあたると認定。「創作かどうかについて、弁護士であれば少なくとも速断を避けるべきだ」と述べた。
さらに、橋下氏がテレビ番組で特定の弁護士に対する懲戒請求を呼びかけ、不必要な負担を負わせたことは、名誉棄損とは別の不法行為にあたると認定。「弁護人は被告に最善の弁護活動をする使命がある」などとして、橋下氏側の反論を退けた。

素人ながら、この判決のまず重要な点は、橋下知事の言動に対して「弁護士として不適切」と判断した点だと思う。
橋下氏は本来は弁護士。その彼が、当の司法から弁護士のしての姿勢のあり方を指摘されたのだから、これは重大な問題だと思う。
同時に、判決では橋下知事の言動を「不法行為」と断罪している。
弁護士が不法行為をして、そのままでいいのであろうか。
本来なら、弁護士免許を返上して、反省の意を表すべきではないだろうか。少なくとも、同じ弁護士に対して不法行為をしたのだから、それが道徳的な行動だと思う。
しかし、実際に彼の取った行動は次の通り、言葉だけの謝罪である。
asahi.com:「橋下知事「判決が不当とは思わないが…」控訴の意向

橋下知事は「原告の皆さん、光市母子殺害事件の弁護団の皆さん、大変ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と頭を下げた。「私の法令解釈、表現の自由に対する考え方が間違っていたとの判断を重く受け止めます。判決が不当とは思わないが、三審制ということもあり、一度、高裁にご意見をうかがいたい」と述べ、控訴の意向を示した。

常識的な思考からは、考えられない結論である。
重く受け止め、不当な判決と思わないと言っているのに、控訴するとは、いったい何を考えているのか。


要は、自分は間違っているとは考えていないということだろう。
弁護士でありながら、どうしてこういう思考ができるのか、理解に苦しむ。
本当に反省しているのなら、判決を受け入れ、800万円の損害賠償金を支払うべきである。
もしかして、800万円を支払うのが惜しいというのか?
三審制の意味を、橋下氏は正しく理解しているのだろうか?
これは、誤った判決を防ぐため、3回裁判を受ける権利を被告人に保障しているのである。
控訴するということは、この判決に不服であるという意思表示なのである。
そんなことを彼が知らないはずがない。
彼は、判決の確定を引き延ばし、あわよくば逆転勝訴をねらっているとしか、一般庶民には見えない。
日本の司法では、最高裁では保守的な判決が出されることが多い。
橋下氏はそれをねらっているのではないか。
府立施設職員の働きぶりを、私設司書を使ってビデオで隠し撮りをし、それを臆面もなくメディアに喋る男である。
普通の人間なら、「それって、人権侵害違うの?」と思うだろう。
そういう法感覚をもった男が、大阪府の知事なのである。
府民に選ばれた首長であれば、何をしてもいいのであろうか。
橋下氏を見ていると、今が日本の民主主義の岐路だと思う。
府民の代表だからこそ、その言動は法を遵守し、どの立場の人間からも一定の支持を得るものでなければならない。
橋下知事の最近の言動は、法的にも問題が多い。
このままでは、大阪がめちゃくちゃになってしまう。
そういう橋下知事に対して、メディアは批判の一つもしない。
日本のメディアは、もう常識的な批判精神すら、失ってしまったのか。
橋下大阪府知事を巡る問題は、日本の政治のあり方、メディアのあり方の現状を露呈して、重大だと思う。
人間、間違った選択をした場合は、もう一度選び直せばいいのである。
Haru@tonetalkは、橋下知事はリコールするべきだと、真剣に考えて始めている。

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