僕が死ぬ時には

僕が死ぬ時には
霞がかった春の午後がいい
桜が満開のその下で
花びらが杯に浮かんでいたりして

僕が死ぬ時には
フォーレのレクイエムが流れているといい
「アニュス・デイ」の調べが
高い空に吸い込まれていく

僕が死ぬ時には
長ったらしい弔辞はいらない
葬式は早々に済ませて
みんなで飲み明かしてほしい

僕が死ぬ時には
僕はそこにはいない
その時どこにいるのか
今の僕にはちっともわからないけど

僕が死ぬ時には
あなたにそばにいてほしい
あなたと手をつないで
僕は安らかに消えていきたい

あなたが僕を思い出す時
あなたの中で僕は生きている
あなたの涙のしずくの中で
僕は生まれたばかりの赤子になる

だから 泣かないで
生と死が切れ目なくつながっているなら
僕はきっと戻ってくる
春の午後の桜の木の下に

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